様々な考え方、取り組み方がありますので、今回のお話だけが正しい訳でもなければ「それは違う」と感じる方もいらっしゃることもある、ということを前置きした上で、今回は「リトミックの目的意識」についてお話したいと思います。
僕は経験値上どちらかというと音楽療法的視点で考えることが多いのでご了承ください。
リトミックの目的として、下記の3点を挙げます。
当然生徒様の通っていただく目的にもよりますが、
・発達のお手伝い
・ピアノなど楽器を学ぶ前の準備
・お子様や親御さんに音楽の楽しさや奥深さを体感していただく
以上3点を主に目指し、音楽要素を取り入れながら楽しく行っていく、ということを土台にしています。また同時に五感を育てていくことも大切にしています。
まず、この「発達表」をぜひ一度ご覧ください。
(これは僕が以前勤めていた療法士の団体が勉強・研究・トライ&エラーを繰り返しながら数年の月日をかけて独自で作った表なので、同業他社や一般の方には絶対情報を与えないようご協力ください。)
この表では、月齢に対して平均的に身に付けておきたい事柄の目安が「運動」「社会性」「言語」「音楽」「その他」の分野別で記されています。
この表を基に、お子様の長所を伸ばしてあげたり、遅れていることを補ったりしていきます(そのお子様が項目をクリアできているかの把握は全部はできないですし、全ての項目が音楽の力を使って補えるものではないですが)。
それをいかに訓練やノルマっぽくではなく楽しく音楽要素を使い親子の笑顔を増やしていくか、というのがポイントです。
※「長所を伸ばすことに重点を置く」「苦手を補うことに重点を置く」「それらをバランス良く」というのは、その子の状況、親御さん教育方針などによっても変わります。
例えば、18か月(1歳6か月)のお子様は「絵本を見て一つのものの名前を言う」ことができるくらいの時期で、「聞こえた音楽のリズムに反応する」時期も過ぎています(もちろん個人差は大きくあります)。
そういう子に対しては、
・動物や果物、乗り物などのカードを広げたりして、雰囲気に合った伴奏を弾きながら「リンゴはどーれかなっ♪」というような歌詞に乗せながらカードを取っていく遊びをする
・実際に何か絵本を使って、お母さんがこれなーに?と聞いたり本人が自発的に発した言葉に対して、先生が効果音を付けて五感を刺激させる(例えばゾウさんだったらのっしのっし歩く様子を低音分散和音で表現するなど)
などなどのプログラムが考えられます。
ただ、お子様によって発達ペースや進度には大きく差があります(うちの子も、長女は4歳になりたての時点で総合的に5歳7ヶ月程度まで発達が進んでいましたが、長男は2歳なりたての時点で半年ほど進んでいるカテゴリーもあれば同じく半年ほど遅れているものもありました)。
更に、興味のあること・ないこと、好きな周波数・嫌いな周波数、性格や特性はバラバラなので、即興的に歌をその場で作れるか、プログラムを臨機応変に考えられるか、多彩な表現力で演奏することができるか、などがある程度求められます。
オリジナルなプログラムを色々作るのが難しそうでしたら、まずは市販の教材やレッスン動画で引き出しや対応力を磨くのもありだと思います。
そして少しずつ知識、プログラム力、応用力、演奏力(セッション力を含む)を磨いていけたら、一人ひとりの成長や目的に合わせて自在にリトミックレッスンができるようになると思います。
初めは即興的な内容が難しくても、やはり最終的には(グループではなく個人の場合は特に)その場のお子様の反応や流れ次第で即興的に進行できると効果の非常に高い内容になっていきますので、そこを目指して取り組んでいきましょう!
何かございましたらお気軽にご相談ください!